雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

全員が読みたい本を選んで読むようになる。

もうすぐ、3学期が終わります。私は、ジャム学級の子どもたちが進級、進学する前に「分厚い本を1冊読む」という経験をさせようと思っていました。そこで、国語の学習で「本を読んでお話ししよう」という単元を考えました。子どもたちが将来、仕事をするときに、仕事の手順書や、機器の説明書などの書類を読むことがあるかもしれません。出来事の順番や話の要点を頭の中にイメージすることはとても大切です。私は、司書の先生と相談しながら、子どもたちが、本をじっくり読む学習の計画を立てました。

みんな、予想以上に本を読んでいます。その姿に私も驚いていました。しかし、レモくんだけは、本を読もうとしませんでした。彼は、計算は得意なのですが、文を読むのが苦手なのです。手に取った本も図鑑でした。しばらくすると、イチくんが読んでいる探偵シリーズの本を手に取りました。でもあまり、読むことに集中できていませんでした。私はレモくんに本を読むことの良さを語りました。
ジャム「5ページでいいから読んでみて。」

レモくんは、寝っ転がって、ゆるーく読んでいました。ところが、急にしっかり読み始めました。凄い集中力です。お話が頭の中に入っていくのが分かりました。次の時間。
レモ 「先生、終わった。」
ジャム「本当?!じゃあ、犯人は誰?」
レモ 「先生、それは、何の話の犯人?」

この答えを聞いただけで、話をちゃんと読んだことが分かりましたが、レモくんは、盗まれたものや事件の流れなど全部話してくれました。みんなも驚きました。そのことを認めると
レモ「先生、俺、もっと読みたい!」
そう言って、2冊目を借りに図書館へ猛ダッシュしていきました。
2冊目もあっという間に読み終えると、今度はイチくんの借りていた本と交換して読んでいます。お互いにブックトークを始めそうな勢いです。

今まで全く本を読もうとしなかったレモくんの変貌ぶりに、驚いています。このことを司書の先生に話すと、同じ様に驚いていました。
ジャム「なぜ、読むようになったんでしょうね。」
司書「ジャム学級は『学び合い』で話すことを大切にしているでしょ。音読もたくさんしていますよね。だから、読むことの抵抗がなくなったのかも知れませんね。」
確かにジャム学級では、たくさんの方とかかわるために音読をいろいろな人に聞いてもらうことを一年間通してきました。

1学期は、全体的にあまり漢字が読めませんでした。漢字の読みを調べるために、それぞれができることを考えて、漢字辞典の使い方を教え合ったり、iPadを使ったりしました。読みが分かっても読みにくいので、分かち書きをしたり、助詞に印をつけたり、範読をしたりしました。そうするうちに、だんだん自分たちで音読をするようになりました。2学期になると、読み方について、一人一人読みの目標を立てるようになりました。子どもたち同士で読み方のアドバイスをし合うようになりました。

「何と読むの?」から始まり「どう読んだらいいの?」になり、「どんな本を読もうかな」になりました。今は内容を話すことができるようになりました。それは、子どもたち同士のかかわりを中心に、先生、幼稚園、地域の方、保護者などたくさんの方を巻き込んだ『学び合い』により、全員が読みたい本を選んで読むまでになったのだと思います。