雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

挑戦

私が出張から戻ってくると、レモくんの交流学級の担任の先生がやってきた。
担任「ジャム先生、今日給食時間に、レモくんが荒れました。」
ジャム「どうしたの?」

事情を聞いてみると、給食の食器を片付ける順番がレモくんが2回連続になり、それが納得できずにイライラして荒れてしまったとのこと。
2回連続になったのには訳があって、班の他のメンバーはレモくんがいないときに代わりに片づけていたので、「今日も片付けをやって欲しい」とお願いしたそうだ。
この班のメンバーの一人の女の子は、以前、レモくんとトラブルになった際に、私からかかわり方のアドバイスをしていた。そのことを思い出したのだろう。なんとかレモくんが納得出来るように訳を具体的に説明し出した。
担任の先生は、レモくんの班の雰囲気がおかしいことに気付いたが、子どもたちで解決出来ると信じ、遠くから見守っていた。
その女の子は、班のメンバーがそれぞれ何回片付けをしたかを言い合うことにした。
女の子「ね、レモくんが一番少ないでしょ。だから片付けて欲しいんだよ。」
レモ「その回数が本当か分からん。嘘かもしれん。」
確かに証拠はない。班のみんなはどうしようもなくなった。レモくんは、イライラが収まらず、ついに給食の食器をぶちまけてしまった。

ジャム「・・・それは申し訳なかったね。」
担任「でも、その後すぐにレモくんは落ち着いてくれたんです。」
ジャム「へぇ。そんなにすぐに落ち着いたということは、荒れていたレモくんを見捨てないような何かがあったんじゃない?」
担任「はい、実は・・・」

レモくんが食器をぶちまけた直後、けががあってはいけないと思い、担任の先生が、レモくんを落ち着かせるために、2人で廊下に移動した。その時、班のメンバーが給食時間であるにもかかわらず全員着いてきて、廊下に一緒に座ってくれた。レモくんが落ち着いた所を見計らって班のみんなは教室に戻り、こぼれた給食や食器の後片付けを始めた。すると、レモくんが教室に戻ってきた。「次は、レモくんが片付けしてね」というと、レモくんは納得して座った。

担任「・・・その後は、いつもの様子に戻っていました。」
ジャム「あの女の子は以前、私に、『どういうふうに言ったらいいんですか』って聞きに来たんだよね。あの班は、なんとか自分たちで解決したかったんだろう。本当に素晴らしいね。ありがとう。」

レモくんの交流学級の子どもたちは、「どうしたら納得してくれるか」という視点でレモくんとかかわってくれるようになってきた。このかかわりは、みんなにとってプラスになる。そう信じています。