雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

安心できる環境や仲間が、人を育む

 

突然の電話

幼稚園から電話がありました。
幼稚園での仕事は、二月のマラソンの伴走で終了となっていました。何だろうと思い、電話にでると、
「マラソンの時に頂いたプレゼントの掲示物を、園児達がすごく喜んでいました。ありがとうございました。それで、園児達も『プレゼントがしたい』と言うので、みんなで、6人分作ったので、お渡ししたいのですが・・・。」


あれから、幼稚園のみんなが、ジャム学級のために、プレゼントを作ってくれていたのです。ただ、幼稚園が小学校に来るとなると、全員は連れて来れなくなります。そこで、ジャム学級の方から幼稚園にお伺いすることにしました。

 

「今日の三時間目、幼稚園に行きます。」

黒板に書いてある私のメッセージを見て、子どもたちは「えっ?幼稚園?」といった感じでしたが、とにかく、みんなで幼稚園に向かいました。
幼稚園に着いてみると、卒園式の練習の真っ最中でした。しばらく、玄関で待っていると、遊戯室に案内されました。すると、教室から園児達が集まってきました。


「ジャム学級さん、一緒に遊んでくれてありがとう!」


そう言って、園児達が一人一人にプレゼントを手渡ししてくれました。園児達からは色紙を、副園長先生からは、みんなで植えたコスモスの花からできた種と、宇宙朝顔(超希少)の種を頂きました。一人ずつプレゼントをもらったみんなは、とても嬉しそうでした。


この日は、幼稚園のお別れ会も兼ねていました。

「ジャム学級の皆さんも一緒に参加しませんか?」

というわけで、そのまま、お別れ会のゲームに参加することになりました。
参加するのは、カードめくりゲーム。
はじめは、ルールが分からないと言っていたジャム学級も、園児達とやりながら理解していき、みんなで参加することができました。
「モモちゃん頑張れー」
「リンくん頑張れー」
園児達から声援が飛びます。
レモくん、ブドーくんには抱っこや、おんぶをせがむ子どもたちがいました。
イチくんには、膝枕をして寝る子がいました。
最後は、ジャム学級がみんなの前に整列して挨拶をするところが、イチくんとブドーくんには、園児がべったりとくっつき離れないので、二人は、園児達の中に座ったまま挨拶をすることになりました。

 

「人の役に立つ」から「安心できる環境づくり」へ

5月、人の役に立つことをしよう、まず、お隣の幼稚園の先生の役に立とう!というところからのスタートでした。幼稚園で仕事をし、責任を果たしているうちに、園児との交流を任されるようになりました。それ以降、園児達が、ジャム学級の仕事を手伝ってくれることもありました。そのうち、園児達は、子どもたちの名前を呼んでくれるようになりました。ジャム学級は、仕事の責任を果たし、年長者として節度ある態度で接したことで、園児達の信頼を得たのです。ジャム学級は園児の信頼に応えようと、さらに頑張りました。ジャム学級と幼稚園の新しい集団が、みんなの安心できる環境になっていったのです。

 

暴力や怒声で人の行動を抑制し、思い通りに動かすことは一時はできるでしょう。しかし、安心できる環境から生まれる主体的な活動にはとても敵いません。安心できる環境では、挑戦しようという気持ちが生まれます。なぜなら、それを見守ってくれる仲間がいるからです。ジャム学級の子どもたちは、一年間、幼稚園で人の役に立つ仕事をすることを通して、安心できる環境づくり、見守ってくれる仲間づくりを学んだのかもしれません。