雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

もう一つの居場所をつくる

 

5月から始まった幼稚園との交流~人の役に立とうプロジェクト~が、とうとう最後の交流となりました。

 

感謝の気持ちを伝えるために何が出来るか考える

予め、子どもたちには、この日が最後になると話していました。すると、子どもたちが、今までの写真を使って掲示物を作り、それを幼稚園にプレゼントしたいと言いました。そこで、みんなで話し合って、色模造紙に幼稚園との思い出の写真を貼って大きなアルバムを作ることになりました。

私は、一学期から撮っていた写真を印刷し、模造紙を用意しました。漢字にルビをふる、空いたスペースを使うなど多少のアドバイスをしましたが、殆ど子どもたちで作りました。子ども達は、ジャム学級の感謝の気持ちが園児達に伝わるようにするために、自分たちで写真を選び、活動毎にグループ分けをし、見出しや吹き出しなどを考えて書きました。今まで、ジャム学級がしてきた活動、そして、園児とかかわりがよく分かる作品に仕上がりました。

 

人の役に立とうプロジェクト、最終回はマラソン!

さて、最後の日がやってきました。最後の仕事は、なんとマラソンの伴走。最後は園外で年中組と年長組全員とかかわる仕事となりました。幼稚園は、今、マラソン大会の練習の真っ最中なのです。そこで、ジャム学級は、「全ての園児が安全に完走できる」を目標に早速作戦を立てました。先頭に、ブドーくんとイチくん、真ん中にレモくん、最後尾にリンくんとモモさん。そして、近くにいる子どもたちを励ましながら誘導しようという作戦でした。さあ、いよいよスタートです。

 

ジャム学級の励ましに勇気づけられた園児達が、予想外の行動をする

スタートと同時に園児達が飛び出しました。幼稚園児とはいえ、かなりの全力疾走です。短距離走のような飛び出しに、慌てて走り出すブドーくんとイチ君。みんな意気揚々と出発しました。コースは直線で、折り返し地点があります。私は、スタートと折り返し地点の中間で見守ることにしました。始めは、団子状態で走っていた園児たちが、折り返すと長い列になってきました。ジャム学級は、辛そうな表情の子を見つけては「がんばれー!」と声をかけ一緒に伴走し、歩いている子には一緒に歩いて元気を与えていました。

みんな無事にゴール!
(そろそろ終わりかな)
そう思っていると、まだ、走ってくる園児がいます。
「あれ?どうしたの?」
「3週目走ってるの!」
「え!3周目?」
年中組は1周、年長組は2周でゴールの予定でした。ところが、ジャム学級の励ましに園児達が勢い付き、3週目を走り出した子どもたちが出てきたのです!もちろん、ジャム学級もそこで休み訳にはいきません。一緒に伴走し、3週目も走り終えました。
「ああ、全員がよく走ったな」
そう思っていると、また、園児達がやって来ます。

「先生、4周目!」
「え、まだ走るの?!」
なんと、まだ頑張ると言うのです。
「ジャムせんせー!、あの子達を見てくれませんかー!」
遠くから幼稚園の先生の声がしました。私は、急いで、4周目を走っている子どもたちを追いかけようとしました。その時です。
「おーい!!」
リンくん、レモくん、イチくんがスタート地点から走ってやってきました。3人は、園児達に追いつくと一緒に走り出しました。そして、みんなでゴール!!園児達もジャム学級も疲れていましたが、みんな良い表情をしていました。

 

みんな自尊心を貯金してきた

ジャム学級の子どもたちは幼稚園との交流で本当に成長しました。彼らは、幼稚園で仕事をして人の役に立つという活動を通して、幼稚園の先生や園児とかかわり、繋がることで人から認められ必要とされ感謝されて、少しずつ自尊心を貯金していったのです。そして、いつの間にか幼稚園がもう一つの居場所となっていました。

 

みんな、冒険しよう!

その日の午後、4~6年生合同の「夢の課題授業」があり、ヨットで世界一周をした白石康次郎さんが来校し、こう言っていました。

「みんな、冒険しよう!冒険とは挑戦だ。挑戦には失敗もあれば成功もある。だからおもしろいんだ。挑戦は、自分からたくさんの人とかかわっていくことが大切なんだよ!」


幼稚園での経験は、ジャム学級の子どもたちの新たな冒険の活力にきっとなると思います。