雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

「全員が」という意識

ジャム「いやぁ、えらいスラスラと読んでいましたよね?きっと、家で練習したんでしょう?」
特学担任「いや、全然練習していないんですよ。」
ジャム「じゃあ、特学で練習したんですかね?」
特学担任「きっと、そうでしょうね。」
 
 最後の授業参観は、総合「大豆名人になろう」発表会でした。これは、授業後の懇談会で、話題になった話です。特別支援学級から交流で来ている女の子が、発表会で非常にスラスラと話していたので、私はとても驚いたんです。(きっとどこかで練習したに違いない。)そう思って懇談会で聞いてみました。ところが、家では練習していなかったのです。懇談会は、それで終わったんですが、その後、支援学級の先生に聞いたところ「いや、練習していませんよ。」との返事。彼女は、社会の時間にも交流で来ています。彼女は字を読むのが苦手です。だから、支援学級の先生と話し合って、友達とかかわりながらクラスで教科書を正しく音読することを課題にしています。それを、クラスの子どもたちが交代で聞いています。毎時間、最低15人は聞いてくれます。しかし、社会の時間に発表会の原稿は読んでいません。
 
 ところが、今週、保護者の方と偶然お会いしたときに、こんな事を話しました。
特学担任「先生、なんかクラスで練習してたらしいですよ!」
ジャム「え?うちで練習していたんですか?」
特学担任「昼休みに友達と一緒に特訓してたらしいです。知らなかったんですか?」
すみません、練習していること全く知りませんでした。おそらく、別室にいたため、気づかなかったのでしょう。だとすると、これは、本当に素晴らしいことです。
 
 総合では、「全員が発表原稿を作って発表をすることができる」が一つの目標になっていました。私が素晴らしいと感じたのは、「全員が」という意識を持っていたということです。支援学級の先生によると、いつもは、昼休みは遊んでいるのですが、「交流学級で練習する。」と言って、3階に上がっていたそうです。遊びたい時間を削って、発表の練習をしようと決断するのは、一人ではなかなか難しいです。しかし、仲間と一緒なら、そして、その仲間が「全員できるようになろう!」という強い気持ちでいたのなら、「頑張ってみんなと練習しよう」と一歩踏み出せるかもしれません。彼女は、仲間と原稿読みの練習をすることによって、文字を正しく読むだけでなく、意味のあるまとまりで読むように、覚えていったのでしょう。
 スラスラと読めた裏には、私の知らないところで、こんなに素晴らしいことが起こっていたのです。