雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング

雲外蒼天~特別支援教育とアクティブラーニング~

実践や経験をストーリーで語ってリフレクションし、自分の強みを探り、それと自分の考え方などを関連させながら次の一手を打つためのブログ

穏やかな朝

静かに朝の会が始まった。おそらく、クラス始まって以来、といってもいいくらい穏やかな朝だった。朝の歌は「ありがとう、さようなら」。お別れ集会で全校で歌う歌だ。歌の途中で、私の方をちらっと見る子がいる。私は歌詞カードを見る振りをして目をそらす。朝の会が終わると、子どもたちは静かに読書を始める。静寂な時間が、実に心地良い。丸付けのペンの音は、一番後ろの席の子にも聞こえているだろうか。
 
8時45分。1時間目は国語「報告書を書こう」だ。黙って私は立ち上がり、黒板に目標を書き始める。と同時に、子どもたちは読んでいる本を片付け、学習の準備を始める。そして、黒板に名札を貼りに集まってきた。報告書の学習はあと2時間で終了となる。子どもたちは作文用紙を出して、それぞれの報告書を静かに書き始めた。報告書を既に書き終わった何人かの子どもたちは、黒板に貼ってある名札を見ながら、打ち合わせを始めた。どうやら何か考えがあるようだ。話し合っているのに全然うるさく感じない。後ろで書いている子の集中が途切れない。
「じゃあ、〇〇さんの所には〇〇さんね、そして、△△さんの所には・・・・」
「それで良い?」
「分かった」
「いいよ」
一斉に子どもたちが散らばって「大丈夫?」「分かる?」と聞き始めた。なるほど、「分担」作戦だな。昨日、6年生への卒業お祝いのプレゼントとして紙花を作ったのだが、その時、作業を分担してお花製造ラインを作ったのだ。ラインは実に効率的に働き、たくさんのお花をつくることができた。この経験をもとに、学習の残り時間を考えて、全員が書き終わるためにできること考えたのだろう。魚の目をもっているからこそできる考えだ。
 
 9時15分。依然として、教室は穏やかな雰囲気を保っている。大きな声を出す子はいない。しかし、子どもたちは友達をかかわりながら報告を書いている。時折、鳥の目を持った子どもたたちが全体を見渡して誰か困っていないか確認している。実は、以前までの書く学習では、残り時間が少なくなると、自分の書いた作文を見せて、それを写させていることもあった。しかし、今は違う。調べる動機を探るため「どうして、このテーマにしようと思ったと?」と聞いて一緒に考える子がいる。調べた結果を具体的に表すため「この書き方じゃ『分かったこと』にならんよ」と書き直しを求める子もいる。また、以前だったら書き終わったら「はい、終わり」とそのまま提出していた子もいたが、今回は、本当に報告書の構成で書けているか、内容は合っているか、友達に読んでもらい、間違いを指摘されたところを修正し、納得してから提出する子が増えた。虫の目を持った子も増えてきたのだ。
 
9時30分。国語の学習が終了した。
「明日は最後の国語の書く学習だね。一人一人が納得できる報告書ができ上がることを期待しています。」